【営業マン執筆】残クレはやばい!?後悔しても遅い7つのデメリットを徹底解説!

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  • 残クレはやばいと聞いたけど、なにがどうやばいのか知りたい
  • 残クレで新車を買うメリットとデメリットを知りたい
  • 自分にとって残クレはお得に新車を買える方法なのか知りたい

筆者は実際にディーラーにて新車販売をしておりますが、購入者の約半分が残クレを利用しています。

それだけ多くの人が使っているにも関わらず「残クレはやばい」という声が聞こえるのも事実。

しかし、そんなにやばい買い方なら多くの人は利用しないはずです。

仕組みをしっかり理解しないと後悔する買い方であることは事実なので、実際に新車販売の営業経験のある筆者が残クレの仕組みやデメリットについてわかりやすくご紹介します。

残クレとはなにか?仕組みを解説

残価設定型クレジット(以下、残クレ)とは、車両の契約満期時の下取想定金額(残価)を設定し、車両価格からその残価を差し引いた金額を分割で月々支払う方法です。

つまり普通のローンより安く買えるってこと?

ズバリそういうことでしょう!

残クレのメリットは通常のローンより安く新車に乗れることです。

最近の新車は安全運転支援システムの搭載や、便利機能が増えたことにより車両価格がどんどん高くなっています。

一方で、日本の給与水準はどんどん下がっているのが現状です。

こうしたミスマッチが新車を買いにくくしており、残クレはそうした現状に合わせて登場した新しい車の買い方と言えます。

残クレはローンより支払額を抑えられる

残クレ料金の仕組み

ローンで新車を購入すると、車両代金の全てを分割して支払うことになります。

しかし残クレなら、残価分は支払う必要がないのでローンよりも少ない額を分割払いすることになります。

そのため毎月の支払額がローンよりも安くなり、気軽に新車を買うことができるのです。

だから残クレは毎月の支払額が減らせるんだね

残クレで契約した車は、毎月決められた金額を支払うことで乗り続けることができます。

契約満期のタイミングがきたら、以下の3つより選択することになります。

  1. 残価を支払いクルマを購入
  2. クルマを返却し次の新車へ乗り換え
  3. クルマを返却

上記3点から選択し、残価を消化することになります。

残価とは何?計算方法は?

【残価(ざんか)】車両の契約満期時の下取想定金額のこと

すでに何度も登場している「残価」というキーワードですが、数年先の下取り価格はどうやって決まっているのでしょうか?

中古車相場がヒントでしょう!

残クレの契約期間は3年〜7年が多く、その期間が終了したときの下取想定価格は中古車相場を参考にします。

例えばホンダのステップワゴンを残クレで購入すると、見積もり結果では5年後の残価が116万円に設定されています。

ホンダの公式サイトで5年落ちのステップワゴンの下取り価格を調べると、結果は149万円になりました。

5年後の残価 5年落ちの下取り価格
ステップワゴンスパーダ 116万円 149万円
ヴェゼルハイブリッド 104万円 105万円
N-BOX 59万円 50万円
※下取り価格は「Honda ON買取価格診断」の結果を引用
※月間走行距離は1,000kmで計算
※5年落ちの車は走行距離6万キロで計算

その他の車種も、5年落ちの下取り価格をベースにされていることがわかります。

車の下取り相場は、以下3つから予想することができます。

  1. 車種
  2. 年式
  3. 走行距離

このように、カーディーラーはある程度の相場予想ができるため、残クレでは想定残価を設定することができるのです。

残クレは走行距離制限がある

残クレは予想相場を基に残価を決定するため、契約満了時の下取り価格が予想を下回るわけにはいきません。

とはいえ、年式と車種はコントロールすることができないので、走行距離を制限することで下取り価格を想定残価に近づけるのです。

だから残クレには走行距離制限があるんだよ

残クレのほとんどが、月間走行距離を1,000〜1,500キロの範囲内で設定しています。

走行距離の計算式
1,000km × 60ヶ月 = 60,000km

月間1,000キロとなっていますが、契約した月数に対して走行距離が決まります。

5年契約(60ヶ月)なら、契約満了時に6万キロを下回っていればOKです。

5年で6万キロ以下ならOK

そのため超過する月があっても、トータルで走行距離制限を破らなければ追加料金を取られることはありません。

しかし最終的に走行距離を超えてしまった場合は、超過した距離数に応じて超過料金を支払う必要があるのです。

1kmあたり5〜10円前後の支払いになるでしょう

メーカー各社は、超過料金を以下の表の通りに設定しています。

超過料金
トヨタ 5円
ホンダ 5〜8円
日産 非公表
ダイハツ 非公表
スズキ 5円
マツダ 10〜20円
スバル 5〜20円
三菱 5〜10円

メーカーが指定した範囲内で車を使えば、最終的に想定下取り価格を保証してくれるというのが残クレです。

綺麗に乗ってくれるなら5年後は必ず◯万円で買い取ります。

この「約束された下取り価格」があるため、その分はローン支払いを免除してくれるというのが仕組みです。

一般的なローンとは違うのが残クレなので、ネットでは「残クレはやばい」と言われているのです。

本当に残クレはやばいのか、次章ではデメリットを7つご紹介します。

残クレのデメリット7つ

残クレはローン購入と違って、車の使用に制限があることは前章でお伝えしました。

こうしたデメリットを理解しないで契約すると、後々後悔することになります。

そこで本章では、残クレに潜む7つのデメリットをご紹介します。

1.最終回で残価を支払えない可能性がある

先ほど説明した通り、契約満期になると残価を精算しなければいけません。

残クレの仕組み

選択肢は3つあり、いずれかの方法で残価を精算する必要があります。

クルマを返却せず乗り続けたい場合は、それまでに残価分の金銭を準備しておく必要があるのです。

残価分の金銭を準備できない場合は、残価分でローンを組み直すことも可能ですが、再度ローンの審査をすることになります。

ローンを完全にアテにしていたのに審査に落ちる可能性もある他、一般に残価でローンを組み直す場合の金利を高めに設定しているディーラーが多いため、利息を余分に払わなくてはならない可能性が高くなります。

この車気に入ったし乗り続けたいなぁ

そう思ったら再ローンまたは現金一括で精算する必要があるので、そのお金が払えない場合は車を返却しなければいけません。

2.頭金を支払う意味がない

通常のカーローンでは頭金を多めにいれることにより、ローンの対象金額を少なくすることができます。

月々の支払い金額を抑えられるね

しかし、残クレの場合はそもそも残価を設定することで、頭金がなくても月々の支払い金額を抑えられることがメリットのひとつです。

クルマに乗っている間に頭金を準備するイメージでしょう!

残クレで頭金を入れることもできますが、残クレの最大のメリットを打ち消す形になります。

また詳細は後述しますが、残クレには一般的なローンと違ってデメリットが多数あります。

そのため頭金を入れられるのであれば、一般的なカーローンで契約した方がお得になる可能性があります。

現役ディーラーマンの一言
頭金を用意できるのであれば通常ローンを選択した方がよいと思います。

3.長距離運転する人には向かない

ディーラーが残価を設定する際は、満期時の中古車としての価値を想定します。

中古車としての価値は、年式はもちろん走行距離も大きく影響するため、満期までの走行距離をディーラーと約束して(契約走行距離)、それを基に残価が設定されることになります。

このことから、ディーラーと約束した走行距離を超過すると想定していた条件から逸脱し契約違反になってしまうため注意が必要です。

もし走行距離を超過してしまうと、満期時の車両下取価格が下落して残価をまかないきれなくなったり、追加料金が発生することになります。

残クレの月間走行距離は1,000〜1,500キロに設定されていることがほとんど。

日頃から長距離運転する人であれば、すぐに約束した走行距離をオーバーしてしまう可能性があります。

4.ペット同乗やカスタムが禁止されている

上記の他、残価設定の際は、内外装の状態が良好であることが前提となります。

つまり傷や凹みはマイナス評価だよ

基準は各ディーラーに依りますが、軽く磨いたり擦って落とすことができるような傷であれば大丈夫でも、鈑金や塗装、革布の補修や部品交換が必要なレベルになるとその分下取価格低下(原状回復代の請求)を招きます。

また、純正の状態での買取を想定しているためローダウンや塗装などのカスタムも禁止の場合がほとんどです。

傷だけではなくニオイも同様ですなので、ペット同乗や喫煙による臭気は大きく下取価格に影響します。

このように借り物かのように気を遣いながら使用していかなければならないことが、通常ローンとの大きな違いになります。

5.金利手数料が高い

冒頭で、残クレは残価を設定し、車両価格からそれを差し引いた金額を分割で月々支払う方法と説明しましたが、金利は車両価格全体が対象となります。

残クレ金利の説明

例えば車両価格200万円で残価を90万円に設定した場合、実際に支払う金額は110万円分ですが、金利は支払う110万円ではなく200万円全体となります。

つまり90万円分余計に利息がかかった状態で、110万円を支払うことになります。

さらに言えば、満期まで支払いを続け、その後引き続き同じクルマに乗る選択をした場合、残価の90万円に対して再度ローンを組むことになります。

その際、今まで残価の90万円も含めて支払いを続けてきましたが、だからと言って再ローンで金利がなくなるわけではありません。

90万円に対しても通常ローンと同じように金利がかかるため、通常ローンと比較して利息を余分に支払うことになります。

つまり90万円に対しては2度金利がかかるよ

こうした背景から、残クレは支払う金利手数料が割高になるというデメリットを抱えているのです。

6.返却時に追加費用を請求される可能性

すでにご紹介した通り、車両状態がディーラーと想定した条件を逸脱した場合は、原状回復のための部品代や工賃を請求されることになります。

請求される費用
走行距離 1kmあたり5〜20円
傷や凹み 1箇所辺り数千円〜数万円
内装の汚れ 1箇所辺り数千円〜数万円
改造など 直すためにかかる費用

走行距離などは原状回復できない状態なので、超過した距離数に応じて規定の料金を支払うことになります。

例えばトヨタの一部ディーラーの契約書には「規定走行距離をオーバーしたときには、走行距離1Km超過につき**円のご負担いただきます。」と記載があり、一般に1kmあたり5~20円に設定されています。

各社の超過料金を一覧表にしたよ

超過料金
トヨタ 5円
ホンダ 5〜8円
日産 非公表
ダイハツ 非公表
スズキ 5円
マツダ 10〜20円
スバル 5〜20円
三菱 5〜10円

料金は車種や契約によって異なるため、公式サイトでは非公表としているメーカーもあります。

7.事故で追加料金が発生する可能性

走行距離と同様に、事故修復歴は原状回復できないため再査定の対象となります。

再査定とは
事故などにより車両の価値が著しく下がった場合、約束した価格で下取りできないため現在の価値を査定することになる。

確実に設定した残価よりも下取価格が下がるため、事故を起こさないように細心の注意を払いながら日々運転する必要があります。

事故は起こさなくても巻き込まれる可能性があるよ

どんな購入方法であっても事故に巻き込まれないことがベストです。

しかし残クレは借り物に近いため、価値を損なうようなことがあれば弁償しないといけないのです。

もらい事故なら相手が弁償することになりますが、それはあくまで車両を綺麗に直すお金です。

残クレの価値は補償の対象外なので、契約している自動車メーカーと協議する必要があります。

その結果、車は綺麗に直っていても「事故歴あり」として精算金が発生する可能性があることは覚えておきましょう。

Q:残価設定型クレジット(残クレ)契約の車両で事故を起こしてしまいました。 車両を修理したいのですが、特別な手続きは必要ですか?

A:お客様とホンダファイナンスの間では修理時の手続きは必要ありません。

但し、満期時に車両返却を選択された場合、修復歴による精算金が発生する場合がありますのでご留意ください。
修理に関しては、販売会社にお問い合わせください。

※引用:ホンダファイナンス公式サイトより

ちなみにデメリットとして「残クレの車を途中で売れない」と紹介しているメディアもありますが、残クレ中の車も問題なく売ることができます。

詳しくはコチラの記事にてご紹介しているので、そちらも併せてご覧ください

参考残クレの車は売却できるがディーラーで売ると損をする可能性がある!

残クレで得する人の特徴

残クレは上手に賢く利用すれば月々の負担額を減らすことのできる素晴らしい制度です

しかし、万人が得をする制度では決してありません。

以下に得する人に共通する5つの特徴を簡単にまとめましたのでご覧ください。

これから1つずつ詳しく紹介していくよ

残クレのメリットは、低価格でワングレード上の車が買えることです。

使用制限があるなどのデメリットが、自分にとってデメリットと感じない人にとっては残クレは魅力的な車の買い方です。

1.日頃車にあまり乗らない人

すでにご紹介した通り、残クレには月間1,000km前後の走行距離制限があります。

オーバーすると超過料金を請求されますが、オーバーしない人であればデメリットにはなりません。

むしろ走行距離が短い人は、想定残価よりも車が高く売れる可能性があります。

その場合は残価より高く売れたお金をもらうことができるので、残クレで得したことになります。

セカンドカーにピッタリだね

2.低金利キャンペーンで買えた人

ディーラーは残クレで車を売りたいと考えているので、定期的に低金利キャンペーンを行っています。

自動車メーカー各社の残クレ金利は、以下の表の通りです。

メーカー 残クレ金利
トヨタ 4.90%
ホンダ 1.90〜3.50%
日産 4.90%
三菱 0.99〜3.90%
マツダ 2.99%
スバル 3.90%
ダイハツ 1.90〜3.90%
スズキ 1.90%

銀行カーローンが2〜3%なので、それより低ければ低金利ですね

残クレは支払う金利手数料がローンより高くなるというデメリットがありますが、金利自体が安ければ総額はローンと変わらない可能性があります。

むしろローンの金利は高く設定し、残クレは安く設定しているディーラーもあります。

金利が安い銀行系ローンを契約できればそれがベストですが、審査に落ちてしまった場合は残クレ金利をチェックしてみましょう。

3.人気車種を買う人

残クレの想定残価は高ければ高いほど、毎月の支払額は少なくなります。

想定残価が高くなれば支払額は安くなる図

想定残価は中古車相場を基に設定されるため、人気車種の方が高く設定されます。

そのため人気車種を買う人は、残クレで得する可能性があるのです。

軽自動車やSUV、ミニバンがおすすめだよ

4.頭金を準備できない人

残クレは頭金0円で契約できるため、まとまった資金が必要ありません。

そのため頭金を準備できない人や、貯金を切り崩したくない人におすすめです。

また最近は新車の納期がどんどん長くなっているので、まずはオーダーを通すことが優先されます。

お金の用意は後でするとして、先に車体を抑えるために残クレで審査を通してしまう方法もおすすめ。

事実、筆者はその方法で「シビックタイプR」のオーダーを残クレで通しました。

実際の残クレの契約書

納車される数年後までに、現金を用意するか銀行系ローンの審査をすれば良いのでおすすめです。

5.数年後にライフスタイルの変化がある人

残クレの契約は3〜7年に設定されていることが多く、契約期間終了時には車両を返却するだけです。

残クレの仕組み

そのため定期的に新車に乗り換えることができるので、ライフスタイルに変化がある人におすすめ。

独身時代はスポーツカーやSUV、結婚したらミニバンに乗り換えるなどの使い方が可能です。

もちろん、契約期間が終わったら同じ車の最新型に乗り換えるという使い方もできます。

いつでも新車なら安心できるね

残クレはやばい?損する人の特徴

メリットが多い残クレですが、当然デメリットもあります。

残クレを使うと損する人について、これからご紹介していきます。

1.車をカスタムする人

残クレで契約した車は、最終的に返却することになります。

返却時は純正に戻すことが求められるので、純正に戻せないカスタムをする人にはおすすめできません。

例えばアルミホイールを変えたり、シートカバーを変えたりする程度ならOKです。

しかしボディに穴を開けたり内装を加工する改造はNG。

原状回復費用を請求されるので、残クレで買った車をカスタムするのはやめましょう。

2.ペットを乗せる人

ペットを乗せる人も残クレはおすすめできません。

ペットの毛や匂いは車内に残るため、クリーニング費用を請求される恐れがあります。

またペットを乗せたことで取れない汚れがついてしまった場合、その内装部品をまるごと交換する費用を請求される可能性があります。

3.長距離運転する人

残クレは月間1,000km前後の走行距離制限が設けられています。

そのため長距離ドライブが好きな人には残クレは向いていません。

超過料金を請求された場合、買い取ってしまうという方法もありますが、それなら通常ローンで購入した方がお得です。

4.カーローンより金利が高い人

残クレは通常のカーローンより低金利に設定されていることがほとんど。

支払う金利手数料がローンより高い分、低金利でなければ契約するメリットが薄れます。

そのためカーローンと金利を比較し、残クレの方が金利が高い場合は契約はおすすめしません。

銀行ローンは低金利なものが多く、三菱UFJ銀行のマイカーローンなら年利1.5%〜2.45%です。

残クレ金利は3.9%ほどに設定されていることが多く、この場合は銀行ローンで契約した方がお得です。

5.タバコを吸う人

タバコを吸う人も、残クレで車を購入するのに向いていません。

タバコの煙は車内に匂いが残り、ヤニがついて汚くなってしまいます。

喫煙車は中古車市場でも人気が低く、下取り価格も安くなるので残クレの想定残価を下回る可能性があります。

結果として下回った残価を精算するか、車を買い取るしかなくなってしまうのです。

6.運転に自信のない人

運転に自信がない人は、車をぶつけたりこすったりする可能性があります。

残クレの車は綺麗に乗るのが鉄則なので、大きな傷や凹みは弁償しないといけません。

初心者などで運転に慣れない人は、中古車からスタートすると良いでしょう。

参考コスパがいいのは新車か中古車か?現役ディーラーマンが徹底解説!

7.ローン期間満了後も同じ車に乗り続けるつもりの人

1台の車を長く乗る人は、残クレよりもローンや現金一括払いで購入する方が向いています。

残クレは定期的に新車に乗り換える人にはおすすめですが、契約終了後も同じ車に乗り続ける人には向いていません。

残クレの車を最終的に買い取る場合、本来払わなくてよかった利息も負担することになります。

こうしたデメリットがあるので、ずっと同じ車に乗るつもりの人はローン購入をおすすめします。

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意外と知らない残クレの罠4つ

残クレには意外と知られていない罠があります。

走行距離制限を超えると追加料金を請求される

すでにお伝えしているように、残クレには走行距離制限が設けられています。

それを超えたらどうなるの?

ズバリ!超過料金を請求されるでしょう!

走行距離に関しては、購入時に決められたルールに基づき金額を請求されることが多いです。

多くの場合、設定した走行距離よりも超過すると、1kmあたり数円を請求されることになっております。

以下に、国内主要メーカーの契約走行距離超過時の請求金額表を示します。

超過料金
トヨタ 5円
ホンダ 5〜8円
日産 非公表
ダイハツ 非公表
スズキ 5円
マツダ 10〜20円
スバル 5〜20円
三菱 5〜10円

ご覧のとおり1km超過あたり5〜10円が一般的なようですね

手数料が意外と高い

残クレ金利の説明

冒頭で、残クレは残価を設定し、車両価格からそれを差し引いた金額を分割で月々支払う方法と説明しましたが、金利は車両価格全体が対象となります。

満期が来ても引き続き同じクルマに乗ることはできますが、残価に対してもこれまで同様に利息は発生します。

そのため、最初から従来のローンを組んだ時よりも支払総額が多くなります。

残クレ(60回) ローン(60回)
ステップワゴン 4,497,289円 4,154,633円
フィット 2,744,395円 2,769,350円
N-BOX 2,266,362円 2,078,960円

※見積もりはホンダ公式サイトの結果を引用

この結果を見ると、全ての車種で残クレの方が支払い総額が高くなることがわかります。

最終回の支払いを一括払いにした結果なので、再ローンをする場合は更に高くなるので注意しましょう。

事故でお金を取られる

残価を設定する際は、走行距離などの条件を設定します。

満期時の中古車としての価値を決めますが、大抵の場合事故修復歴のないことが条件になっています。

そのため、事故を起こすと車両下取金額は確実に低下すると言っていいでしょう。

修復歴のある車両より、ない車の方が中古車としての価値が高いことは想像つきますよね。

修復歴ありなしで中古車の価格が変わる画像※画像出典:カーセンサーより

実際の中古車販売価格を見ると、修復歴なしの車の方が15万円ほど高いことがわかります。

修復歴車はそれだけ価値が低下するということだね

事故を起こすと修理をしても、購入当初に設定した残価に対して下取金額が大幅に下落します。

事故を起こした際は、満期時にある程度の金額を支払うことになる覚悟を持っておく必要があります。

残価を下回る可能性がある

上記の事故以外にも、ディーラーと約束した走行距離や内外装の状態などといった条件を逸脱した場合は、実際の下取額が当初想定していた金額よりも下回る可能性があります。

その場合、設定した残価との差分は満期時に自己負担での清算となってしまいます。

満期になったらクルマを返却する人が多い中、再度ローンを組む方も少数います。

その大半はクルマが気に入ったというよりは、その差分を払えずに再ローンを選択せざるを得なかった人が多いのです。

残クレにもメリットはある

デメリットばかりに思える残クレですが、しっかりとメリットもあるので覚えておきましょう。

残クレのメリットは以下の6つです。

1.月々の負担額が少ない

残クレ料金の仕組み

残クレは下取り想定額を差し引いた金額で契約できるため、月々の負担額を減らすことが可能になります。

頭金を入れているのと同じ効果があるよ

中古車と比較して新車は故障のリスクが低く、また新車はディーラーにより3年から5年間の無料保証が付いているため想定外の支出は心配しなくてよいでしょう。

更に言えば、新車は初回の車検が3年後のため、もし3年契約で新車を残クレで支払っていけば車検を受けることなく満期を迎えることができます。

また、単純に今まで手が届かないと思っていたワンランク上のグレードや車種に乗ることができるようになることが魅力です。

2.頭金0円で新車に乗れる

通常ローンでクルマを購入する際に頭金をいれるメリットとしては、以下の3つがあります。

  1. 月々の支払金額を抑えることができる
  2. 同じ借入金額でワンランク上の車両に乗ることができる
  3. ローンの審査で有利になる

残クレなら、頭金がなくても月々の支払い金額が抑えられます。

また、ローンの審査においても従来のローンと比較して通りやすいという特徴があります。

残クレのローン審査が通りやすい理由は、コチラの記事で詳しく解説しています。

参考【現役執筆】残クレの審査は甘いはウソ!審査基準や落ちた際の対策を徹底解説!

3.気軽に乗り換えることができる

残クレの満期を迎えたタイミングで同じディーラーの車両へ乗り換える場合、クルマを返却するだけで残債に悩まされることもなく完結できます。

乗り換える際も頭金などの金銭的な事前準備は不要のため、お金の心配なく次の新しいクルマに乗ることができるのです。

4.残価が保証されていて安心

中古車市場は経済情勢や人気車種の変遷などで、常に相場変動が起こっています。

車両購入時、リセールを想定して該当車種の現在の中古車相場を調査しても、数年後にどうなっているのかまでは確信できません。

相場が暴落することもあるよ

車両を下取りに出したディーラーは、その車を中古車として販売する以外にもレンタカー等に活用します。

そうすることで車両の下取金額が左右されるため、将来の下取金額は安定しないと言って良いのです。

しかし、残クレの場合、車両購入時にその下取金額をディーラーが設定します。

ディーラーとの約束通りの条件で車両を取り扱っている限りは、下取金額の心配をする必要がありません。

5.ローンより低金利なことがある

残クレはディーラーにもメリットがある販売方式なので、ローンより低金利に設定されているケースがあります。

特に完成車メーカー直轄ではない非正規ディーラーは、中古車販売にも注力しているので残クレに積極的です。

残クレで車を販売すれば、将来的に商売のタネである中古車が手元に戻ってくるので残クレを推進したい傾向にあります。

そのため、キャンペーンとして従来の自動車ローンよりもかなりの低金利で残クレの金利設定をすることがあり、通常ローンより低金利で車両購入が可能な場合もあります。

6.メンテナンスパックが含まれている

購入した車両を維持するためには、車検やエンジンオイルなどの消耗品交換も必要であり、都度費用が発生します。

ローン会社によっては、維持費まではローンに組み込めないというデメリットがあります。

購入費用だけ借りられるのが一般的だね

しかし、残クレで車両がディーラーやローン会社に帰属している場合は、その維持にかかる経費もローンに盛り込むことが可能となるのです。

これを利用すれば、クルマに関する支出を安定させることが可能になりますよね。

残クレで後悔するケース

残クレで契約して後悔するのはどんなときなのか、3つのケースをご紹介します。

この記事の筆者は現役の営業マンなので、実例も交えながら3つのケースをご紹介します。

1.事故で車を傷つけてしまったとき

残価を設定する際は、内外装の状態が良好であることや事故歴無しが条件となっている場合が多いです。

そのため、クルマを傷つけてしまった場合は満期時に原状回復のための修理代を請求されたり、事故歴有として下取価格を再査定されて設定した残価よりも大幅に下落してしまうことになります。

現役ディーラーマンのひとこと
通常ローンであれば車両価格のすべてを最初から自分で支払うため修理代のことだけを考えればいいのですが、残クレの場合は払わなくてよかったお金を払うことになっている感が強く、後悔される方が多いです。

2.車を気に入って買取るとき

冒頭で、残クレは残価を設定し、車両価格からそれを差し引いた金額を分割で月々支払う方法と説明しましたが、金利は車両価格全体が対象となります。

残クレ金利の説明

満期後も同じ自動車に乗り続ける場合は、再度残価分はローンを組みなおすことになります。

残クレでの返済時購入金額全体に対しての利息を支払ってきたが、だからと言って組みなおしたローンの金利が安くなることは通常起りません。

その結果、最初から通常ローンを組んだ時よりも利息を多く払うことになるのです。

3.思わぬ転勤や転職で走行距離オーバー

例えば、クルマを持つ際に都心部に在住していたり、通勤通学にクルマを利用しなかったりでそこまでクルマを使う予定のない場合、満期時に到達する予定の走行距離を少なく設定することができます。

そうなると設定する残価が高くなるため、日常的にクルマを利用する人よりもさらに月々の支払いを抑えることができるのです。

ただ、落とし穴として、現在の環境をもとに走行距離少なめで残価設定した後、転勤などで自身の環境が変わり通勤など日常的に自動車を使用する機会が増加した場合、ディーラーと約束していた走行距離を超過してしまうことがあります。

その結果、その超過分追加料金が発生してしまうことになるのです。

現役ディーラーマンのひとこと
実際に私のお客様も、思ったより走行距離が伸びてしまって残クレで契約したことを後悔していました。

残クレはディーラーしかメリットがないって本当?

私自身、現在ディーラーに勤めておりますが、残クレがディーラーしかメリットがないということは決してございません。

ディーラー側の主なメリットは、以下の3つです。

  1. すでに金額と条件の決まっている下取車両が入荷する目途を立てることができる
  2. 下取車両が入荷したタイミングで新たにクルマを購入してもらえる目途を立てることができる
  3. 残クレを選択すると乗り換えても継続的にローンを組む場合が多いのでローン会社からの利息マージンを継続的に得ることができる

ディーラーは定期的に車が売れるってことだね!

程度の良い中古車も手に入るでしょう!

しかし、購入者側としても月々の支払いを抑えられることや下取金額が保証されていることはメリットに違いありません。

現役ディーラーマンの体験談
実際に、あまりクルマにお金をかけられないが、生活に必要だからと中古車を直しながら乗っていたお客様に対して残クレを提案して新車をご購入いただいた際は、支払金額が変わらないのにもかかわらず最新装備で綺麗で余計な出費の心配のない新車に乗れたことを感謝された経験があります。

このような実体験があるため、ディーラーだけがおいしい思いをしているということはないでしょう。

残クレで買う人の割合は?

私は国内全メーカーの新車・中古車を双方扱っている、いわゆる非正規ディーラーに在籍しております。

そんな私の体感になりますが、新車に限れば5割程度の方が残クレを選択しております。

残クレを選択する人に多いのは、以下のいずれかに当てはまる方です。

残クレを選択する人の特徴
  • 数年後に海外留学や転勤などで車を手放す目途が立っている方
  • 乗りたいクルマが経済的にあと一歩届かない方
  • 中古車に乗っていて、故障などの突然の出費に嫌気のさしている方

逆に、通常ローンを選択する人に多いのは、以下のいずれかに当てはまる方です。

ローンで車を購入する人の特徴
  • クルマをカスタムするのが好きな方
  • 小さいお子様のいらっしゃる方
    (お子様が内装を汚すかもしれないため)
  • アウトドアが好きでよく山岳部などオフロードを走行する方

ちなみに、カスタムに関して言えばディーラーによってはOKな場合もあるのでよく確認してみてください。

多いのは、納車時にディーラーでカスタムをすべて手がけて、そのカスタム込みで査定すればOKなパターンです。

残クレとローンはどっちがお得?

ここで、実際に残クレと通常ローンで同じ車両を購入した際の比較をしてみましょう。

借入金額は250万円に設定いたしました。

一般にコンパクトカーの購入金額相場が250万円前後になりますのでそちらを想像しながらご覧ください。

項目 通常ローン 残価設定ローン
借入金額 2,500,000円 2,500,000円
借入年数 5年 5年
頭金 0円 0円
ボーナス 10万円(年2回) 10万円(年2回)
利率 3.9% 4.5%
設定残価 0円 750,000円
月々支払額 27,557円 16,795円
支払総額 2,763,784円 2,805,749円

この結果を見ると、支払総額が通常ローンの方が安いことがわかります。

もし残クレの方が低金利で契約できれば、結果は変わるので見積もりはローンと残クレの両パターンで取ることをおすすめします。

具体的な車種を買ったときのシミュレーション結果は下記の通りです。

新型N-BOXを残クレとローンで比較した結果

※画像出典:価格コムより

ホンダの大人気車種「N-BOX」を残クレとローンで購入した場合のシミュレーション結果は下記の通りです。

ローン購入 残クレ
月々の支払額 38,900円 27,900円
支払総額 2,256,563円 2,323,047円
最終回支払い 0円 672,760円
※グレードはベースモデルを選択
※ナビ、ETC、フロアマット、バックカメラ、ドアバイザーを装着
※全ての購入方法で頭金は0円で計算
※契約期間は5年間
※ローン、残クレ金利は3.9%
※残クレ、リースは月間走行距離1,000kmで計算
※メンテナンスパックはなしで計算

同じ条件でN-BOXを買うと、残クレの方が66,000円ほど支払総額が高くなります。

ステップワゴンを残クレとローンで比較した結果

※画像出典:価格コムより

2022年にフルモデルチェンジしたばかりのステップワゴンを比較した結果は、下記の表の通りです。

ローン購入 残クレ
月々の支払額 73,100円 50,500円
支払総額 4,387,531円 4,273,795円
最終回支払い 0円 1,290,900円
※グレードは「e:HEV SPADA」を選択
※ナビ、ETC、フロアマット、バックカメラ、ドアバイザーを装着
※全ての購入方法で頭金は0円で計算
※契約期間は5年間
※ローン、残クレ金利は1.9%
※残クレ、リースは月間走行距離1,000kmで計算
※メンテナンスパックはなしで計算

フルモデルチェンジ直後は、メーカーが販促のために残クレの低金利キャンペーンを行うケースがあります。

こうしたキャンペーンを利用すれば、ローン購入より支払総額を抑えられることがあるのです。

カローラクロスを残クレとローンで比較した結果

※画像出典:価格コムより

トヨタの人気車種「カローラクロス」を残クレとローンで購入した結果は以下の通りです。

ローン購入 残クレ
月々の支払額 67,000円 47,500円
支払総額 4,021,347円 3,988,703円
最終回支払い 0円 1,183,630円

※グレードは「HYBRID Z」を選択
※ナビ、ETC、フロアマット、バックカメラ、ドアバイザーを装着
※全ての購入方法で頭金は0円で計算
※契約期間は5年間
※ローン金利は7.8%、残クレ金利は5.8%
※残クレ、リースは月間走行距離1,000kmで計算
※メンテナンスパックはなしで計算

ディーラーによっては通常ローンの金利を高く設定し、残クレの方がお得に買えるようにしています。

しかし銀行系のローンなら3%以下で契約できるので、こうした低金利ローンの利用も検討しましょう。

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まとめ

  • 残クレとは毎月の支払額を減らせる新しい車の買い方
  • 想定残価を設定することで、頭金0でワングレード上の車が買える
  • 綺麗に使わないと追加料金を請求されるので「やばい」と言われている
  • デメリットをしっかり理解した上で使えば便利な車の買い方
  • ローンや現金で支払える余裕がある人は残クレを使う理由はない

残クレとは、購入した車両の、ローン支払い満了時期の下取想定金額(残価)を設定し、購入金額から、その残価を差し引いた金額を分割で月々返済していくプランのことです。

車両下取金額が保証されているため、月々の支払い金額を抑えられることが最大のメリットです。

ただし車の使用には制限があり、購入時に約束した走行距離を超過したり、内外装を傷つけたりすると、車両返却時に追加料金を請求される恐れがあります。

普通の購入方法と思って契約すると、思わぬ落とし穴にハマることがあるので、ネットでは後悔している人が「残クレはやばい」と言っています。

しかし新車販売をしている筆者の体感では、購入者の約5割が残クレを利用しています。

すでにポピュラーな支払い方法のひとつとなっており、デメリットをしっかり理解すればお得に新車に乗れる制度だと言えるでしょう。

残クレは全員が得をする夢のような制度ではなく、得する使い方と損する使い方がはっきりとわかれるので、内容をしっかり理解して賢く利用していきましょう。

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よくある質問

残クレはやばいって本当?

正しく理解して使えばやばくありません。残クレは上手に賢く利用すれば月々の負担額を減らすことのできる素晴らしい制度です。将来の下取金額がある程度保証されますが、購入時に約束した走行距離を超過したり、事故や傷をつけてしまうと、予定よりも下取金額がつかないため、満期時に設定した残価との差額を支払う必要があります。

残クレで得する人は?

数年後にライフスタイルの変化を予定しているなど、人生設計が明確な人です。残クレは、問題なく満期時に車両を下取させられることができれば車両を簡単に手放すことができ、車両を持っていないのに支払いが継続するような心配はありません。そのため、将来転勤などで車が必要でなくなる人にとっては、通常ローンで車両を購入して時期が来たら手放すよりも損をする心配がありません。

残価設定ローンの罠って何?

過走行や傷により実際の下取金額が設定残価を下回ることです。残価を設定する際は、想定された走行距離内に収まっていてなおかつ内外装の状態が良好であることや事故歴無し前提の場合がほとんど。そのため、自身を取り巻く環境が変化して購入時よりも自動車を使用する機会が増加し過走行になった場合や事故などで車両を傷つけてしまった場合は下取金額や残価を下回り、その差額を返済する必要が発生します。

残クレで買う人の割合は?

新車だと約5割程度です。新車は中古車と比べて支払総額が高くなるものの、下取金額を確保しやすいため残クレが選択されやすい傾向にあります。特に、20代の女性や日常的に遠方まで運転しない方が多いです。逆に言うと過走行や車両に傷をつけてしまうリスクの上がるアウトドア派の方や小さいお子様のいらっしゃるご家族は通常のローンを利用する場合が多いです。

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この記事を書いた人
ひらた@現役ディーラーマン

某大手自動車部品メーカーにて技術総合職に5年従事。現在はディーラーにて営業を経て本社および関連グループ会社の事業全体統括を担当。クルマの仕組みから整備・修理・カスタム・コーティング・レンタル・販売・カーリースなど幅広い知識を基に執筆活動中。

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