近年、水害の規模はどんどん大きくなっており、大規模洪水で車が水没するケースも増えています。
こうした水没車(冠水車)を黙って販売するトラブルが増えており、粗悪な車が市場に出回っていることが問題視されています。
本記事では、水没車を見分ける方法や、買ってしまったらどうするかをわかりやすくご紹介しています。
維持費がコミコミ、納車が早いのはもちろん、ネットで車選び〜契約までできちゃいます。
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水没車や冠水車は告知義務はないが不当表示になる
中古車販売時に告知義務があるのは修復歴であって、冠水歴や水没歴は必ずしも告知する必要はありません。
また、残念ながらカーセンサーなどの中古車情報サイトは、冠水車や水没車を除外して検索することはできません。
以上のことから、冠水した車は告知自体が義務付けられているわけではありません。
しかし、一般社団法人「自動車公正取引協議会」では、こうした車を告知なしで販売することは「不当表示」として注意喚起しています。
中古車を販売する際、「冠水車」であるにもかかわらず、「冠水車」ではない等の虚偽の表示・説明をした場合はもちろん、「冠水車」であることを表示・説明しなかった場合も、当該中古車の品質や性能等について著しく優良であると誤認されるおそれがある不当表示(優良誤認)に該当し、公正競争規約に違反することになり、景品表示法上も問題になります。※引用:一般社団法人自動車公正取引協議会より
「告知義務はないけど不当表示にはなる」という少しややこしい状態で、現状は冠水車や水没車を証明する確固たる証拠というものは存在しません。
こうしたややこしさを悪用するのが悪質な中古車販売店であり、彼らは「水没車とは言っていないが水没していないとも言っていない」というスタンスで怪しい車を販売します。
間違いなく悪いのはこうした中古車屋ですが、我々は自己防衛するしか自分の身を守る方法がないのです。
水没車を買ってしまったらまずは相談!
購入した車が冠水車だった場合、一刻も早く契約の取り消しを求めましょう。
しかし水没車であることを隠して販売するような中古車屋が、素直に返金に応じる可能性は低いでしょう。
そこで、水没車を買ってしまったらまずは消費生活ホットラインに相談することをおすすめします。
消費生活ホットラインは、全国にある最寄りの消費生活センターを紹介してくれる電話番号です。
消費生活センターは全国に約800箇所も設置されており、全ての市区町村に相談窓口が設置されています。
相談員には、水没車を買ってしまったことを伝えた上で、中古車販売店から十分な説明がなかった旨も伝えましょう。
相談を受けた消費生活センターの相談員が、事業者と交渉して返金されるケースもあります。
個人で交渉するよりも効果が望めるので、こうした無料相談を活用しましょう。
水没車を販売するのは何の罪になる?
冠水車や水没車を販売するのは、悪質なケースでは詐欺行為と考えられます。
これから、3つのケースに分けて中古車販売店が何の罪に問われるのか解説していきます。
1.水没車と表示がなかったケース
もし中古車販売店が水没車に対して、「水没車である」という表示をしていなかった場合は、民法第95条に反していると考えられます。
第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
※引用:e-Gov法令検索より
この場合、契約の重要部分に錯誤があったとみなされ、契約取り消しの申し出が可能です。
契約の無効を主張するのに期限はなく、水没車を買ってしまったと気付いた時点で契約取り消しができます。
2.水没車であることを故意に隠していたケース
中古車屋が水没車であることを故意に隠していたケースは、民法第96条に反していると考えられます。
第九十六条 詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。
2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。
3 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
※引用:e-Gov法令検索より
詐欺による被害は、当然ですが契約の取り消しを求めることができます。
3.水没車ではないと説明を受けていたケース
車を買うときに「水没車ではない」と説明を受けていたケースであれば、消費者契約法4条に反していると考えられます。
第四条 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
一 重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認
二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認
※引用:e-Gov法令検索「消費者契約法」より
購入した人が「水没車ではない」と誤認識した上で契約した場合は、中古車屋は契約取り消しに応じる必要があります。
中古車屋が「水没車ではない」と説明した場合、ほとんどのケースがこれに当てはまります。
ここで挙げた通り、冠水車や水没車であることを隠して売った場合、ほとんどのケースで返金が可能です。
繰り返しますが、詐欺行為をするような中古車屋はまともに交渉に応じる可能性は低いです。
専任の弁護士が間違った法律の解釈を伝えてくる可能性もあります。
こうした悪質な中古車屋とは直接交渉せず、消費生活センターに相談しましょう。
中古車屋に関する問い合わせは、一般社団法人自動車公正取引協議会にしても良いでしょう。
水没車や冠水車の見分け方
1.相場よりも異常に安い
まずは、相場と比較しても異常に安い中古車があったら要注意です。
中古車が安くなる理由のほとんどが走行距離と修復歴です。詳しくは「車の価値が下がるタイミング」をご覧ください。
相場より安い車を見つけたらまずは走行距離をチェックし、他の車と比べても過走行とはえいない場合は他に安い理由があると考えられます。
修復歴があって安い場合はそれが理由になりますが、修復歴もない場合は注意レベルが上がります。
水没車は修復歴車にはならないんです
”特に理由はないけど安い”という車はなにか裏があるので、他の点もチェックすることをおすすめします。
2.車内から変なニオイがする
変なニオイがする車という時点で購入意欲は下がりますが、念の為車内のニオイはチェックしましょう。
ほとんどの中古車は、販売前に車内クリーニングを行うので変なニオイはしません。
車内クリーニングの内容は「【画像レポ】車内清掃をプロのクリーニング業者に依頼してみた!料金と効果を公開」で詳しくご紹介しています。
水没車は川の水や海の水、泥水に浸かっていることが多いので、車内からは泥混じりの変なニオイがします。
どれだけクリーニングしても、冠水車というのは車内の隅々まで水が行き渡ってしまうのでニオイを取り切ることができません。
芳香剤や香水などの香りが強いもので隠している可能性もあるので、芳香剤などの香りが強烈な車も注意しましょう。
怪しいと思った際には、車内の換気をしっかり行った上でニオイのチェックをしましょう。
この時点で買うのはやめた方がいいですね
3.エアコンから変なニオイがする
水没車(冠水車)の特徴は、エアコン内部まで水に浸かってしまっていることです。
そのためエアコンを使うと泥やカビのようなニオイがするという特徴があります。
カビ臭に関しては、梅雨時期や雨上がりには普通の車でも起こり得ることなので、特に泥のニオイに注意しましょう。
エアコンやエンジンをつけさせてくれない店は要注意でしょう!
エアコンをつけたばかりの状態ではわからないので、できれば10分ほどエアコンをつけっぱなしにすることをおすすめします。
4.シートベルトが変色している
シートベルトを確認して、途中まで変色している車も水没車(冠水車)の疑いがあります。
車内まで浸水した車は、シートも水に浸かることになります。
しかしシートベルトは車内の高い位置までつながっている部品なので、一部だけが水に浸かるケースが多いのです。
そのため水に浸かっていない部分はそのままの色で、浸かった部分は色が濃くなっています。
通常使用ではこのようなことは起きないので、途中でシートベルトの色が変わっている車は水没車を疑うべきでしょう。
シートの座面や背もたれも要チェックです
5.車内の部品が錆びている
車内は水が入ることを想定していないため、特に錆止め加工はされていません。
そのためシートレールや部品の取付ボルトなどの、金属部品が錆びている車は水没車(冠水車)の可能性が高いです。
他にも配線の継ぎ目が錆びていたり、ステアリング内部が錆びて変な音がするのも水没車の特徴です。
6.シミや汚れがある
本来シミや汚れはスポットで付着しますが、水没車は全体に水が染みるのでシミや汚れの範囲が大きいという特徴があります。
ジュースをこぼした、濡れたものを運搬したというシミや汚れは、販売前のクリーニングで大半が落ちます。
クリーニングをしているのに残っているシミや汚れは、少し念入りにチェックすることをおすすめします。
なんの汚れか聞いてみるといいですね
ここまでご紹介したポイントをチェックし、少しでも怪しいと思ったら水没車かどうかの確認をしてください。
そこで「違う」と答えたら詐欺行為に繋がるので、後日返金請求がしやすくなります。
しかし、くるまりこちゃん編集部では、そのような怪しい車を購入するのは避けるべきだと考えています。
怪しいと思った車はどんなに安くても避ける方が良いでしょう。
水害の後は悪質な中古車屋に注意
大きな水害の少し後には、水没車(冠水車)が市場に出回ります。
中古車というのは全国にある「業者オークション」と呼ばれるところで売買されています。
そこには全国の中古車買取店から集められた車が出品され、中には水没車(冠水車)を隠して出品する業者も紛れています。
業者オークションにおける冠水車の取引量は、年々増加しているという情報もあるくらいです。
ここ数年、大型台風などによる水害が各地で発生している。日本オートオークション協議会(北口武志会長)によると、中古車オークション(AA)における冠水車の取引量も増加傾向にあるという。
※引用:一般社団法人日本自動車会議所「自動車産業インフォメーション」より
また業者オークションでは水没車(冠水車)として出品されていても、販売する中古車屋が隠して売るケースもあります。
水害に遭った人たちは、車両保険を使ったり自腹で買い替えたりして、水没車(冠水車)を手放します。
これを安く買い叩いて見える範囲だけキレイにした後に、隠して売る業者があるのです。
水害が起きた地域では販売せず、わざと遠方の中古車買取店で販売することもあります。
特に水害から数ヶ月後は、こうした怪しい中古車が多数出回るので注意しましょう。
冠水歴を隠して販売する悪質な中古車屋については「【店員が暴露】修復歴や水没車を隠して販売する悪質な中古車屋の見分け方」で詳しくご紹介しています。
全国ニュースで水害が起きた地域を把握しておくことも大事ですね
水没車を買ってしまったことで起きたトラブル事例
水没車はエンジンルームやトランスミッションなどの防水ではない部品まで水がかかっている状態なので、今は乗れていても将来的に不具合が起きる可能性が高いです。
そこでここでは、水没車を買ってしまったことで起きたトラブル事例をいくつかご紹介します。
納車直後にエンジンが止まる不具合が起きたケース
中古車販売店で中古車を購入したが、納車直後からエンジンが止まる等の不具合が何度も発生し、その度に修理してもらっていた。しかし、何度修理しても直らなかったので正規ディーラーに見てもらったところ、「冠水車です。このまま乗っているのは危険ですが、当店では冠水車の修理対応はできません。」と言われた。購入時に冠水車であることは説明されていない。冠水車と知っていれば、始めから購入しなかったので、キャンセルしたい。
※引用:一般社団法人自動車公正取引協議会「冠水車」に関するトラブルが増加していますより
これは本記事でもご紹介した「水没車と表示がなかったケース」に該当します。
中古車屋は告知義務がないことを逆手に取り、重大な問題を伝えずに販売したと予想できます。
虚偽の説明こそなかったものの、契約に関する重大な錯誤があったため、民法第95条に反していると考えられます。
これは水没車を買ってしまったことに気づいた時点で返金要求できます
現車確認をしないで買ったら水没車だったケース
遠方の販売店のため、車両の写真を送ってもらい商談を進めた。内・外装の写真は送られて来たが、エンジンルームの写真はなかったので、汚れはないかメールで確認したところ、販売店からは「汚れのない、きれいな状態」との回答があった。写真では特に問題なさそうだったので購入したが、納車後、車両を確認すると、車内からは異臭がし、エンジンルームは泥だらけで金属は全て錆びていた。マフラーの錆もひどい。事前に確認していた状態とは全く違う、水を被った冠水車であると思われるので、キャンセルしたい。
※引用:一般社団法人自動車公正取引協議会「冠水車」に関するトラブルが増加していますより
これは本記事でご紹介した「水没車であることを故意に隠していたケース」に該当します。
現車確認をしていれば避けられた事態なので、中古車を買うときは必ず現車確認をしましょう。
このケースであれば、詐欺の事例として返金を要求できます
しかし何度もお伝えしている通り、水没したことを隠して販売するような中古車屋は素直に返金に応じることはないでしょう。
自分で交渉せず、消費生活センターに通報した上で返金を求めましょう。
遠方の中古車屋にある車を、ネットの情報だけを鵜呑みに購入することは筆者はおすすめしません。
筆者も以前、「修復歴なし」「外装傷なし」と紹介されている中古車を購入したところ、雹害により屋根がボコボコだったことがありました。
確かに未修復なので修復歴はありませんし、凹みは傷ではないので「大きな傷なし」の表現も間違ってはいません。
しかし重大な瑕疵が隠されているのは悪質といえます
こうした販売店が存在しているのも事実なので、車は必ず現車確認の上購入することを強くおすすめします。
中古車屋に関する問い合わせは、一般社団法人自動車公正取引協議会にしても良いでしょう。
水没車を買わないためにできること
水没車による被害は大きく、車としてまともに機能しないものに大金を払ってしまったら無駄な出費だけでなく無駄な時間まで使うことになります。
その上、万が一返金されないなんてことになったらストレスは計り知れません。
こうした事態に陥らないためにも、水没車は買わないことが1番です。
私たちが水没車を買わないためにできることは、以下の3つです。
1.自動車公正取引協議会に加盟している店で買うこと
中古車屋は警察署が発行している「古物商」という資格を取れば誰でも開業できます。
しかし安心できる中古車屋を探すなら、一般社団法人自動車公正取引協議会に加盟しているところを利用しましょう。
自動車公正取引協議会に加盟する中古車屋は、景品表示法を遵守することを求められます。
水没車を隠して売るようなことがあれば資格が剥奪されるため、利用者を騙すようなことはしません。
万が一自動車公正取引協議会に加盟する中古車屋で買った車が水没車だったら、この協会に連絡すれば適切な対応を受けられます。
2.ディーラーの認定中古車を買うこと
ディーラーの認定中古車は、一定の基準を満たした高品質な中古車だけを扱っているので安心です。
認定中古車として並んでいる車は、ディーラーの展示車だったり試乗車だったりすることが多いです。
またそのディーラーのお客様が買い替えのために下取りに出した車であることも多く、どれもそのディーラーで販売した車が大半を占めます。
認定中古車については「ディーラーが残クレをおすすめする本当の理由」で詳しくご紹介しています。
そのためディーラーも手厚い保証をセットで販売するため、鑑定書がついてくるケースもあります。
ディーラーはメーカーの看板を掲げている以上、水没車を隠して販売するようなことはありません。
安心して乗り続けられる車を買うなら、ディーラーの認定中古車がおすすめです。
デメリットは相場より少し高いことです
3.水没車ではないとしっかり確認すること
現車確認をして少しでも気になる点があれば、水没車ではないかしっかり確認しましょう。
ここで「水没車ではない」と言われた場合、買った車が水没車だった場合は詐欺行為になります。
何も答えなかった場合は、水没車の可能性が高いでしょう。
水没車でないことを確認したら、できれば契約書にも「水没車ではない」と記載してもらいましょう。
やましいことがある中古車屋であれば確実に拒絶するので、その場合は購入をやめるべきです。
後々「言った・言わない」で論争になるケースも珍しくないので、書面に残しておくことは大事です。
信用できない中古車屋からは買わないことが1番ですね
まとめ
- 水没車(冠水車)の告知義務はないが不当表示にはなる
- 水没車(冠水車)を買ってしまったら消費生活センターに相談を!
- トラブルを避けるために現車確認を行うことが大事
- 洪水や水害のあとは水没車(冠水車)が多く出回るので注意
- 信用できる中古車、ディーラーの認定中古車を買うのがおすすめ
\車がもらえるカーリース/
MOTAカーリースは
✔頭金0円、初期費用なし
✔走行距離制限なし
✔オイル交換、車検無料クーポン
✔最後は必ず車がもらえる
カーリースなのにカスタムOK
ペットOK
どれだけ乗っても追加精算ナシ!
当サイトから最も申し込まれているカーリースです
よくある質問
カーセンサーには冠水車(水没車)を調べる方法はある?
カーセンサーをはじめとする中古車検索サイトには冠水車(水没車)を調べる機能はありません。水没車は修復歴とは異なるので、修復歴車を検索しても水没車は出てきません。
水没車を買ってしまったらどうする?
水没車を買ってしまったら、まずは消費生活センターに相談しましょう。電話番号は市外局番なしの「188(いやや)」と覚えておきましょう。発覚したらすぐに行動することが大事です。
中古車屋で水没車の見分け方を知りたい
水没車を見分ける方法を6つご紹介します。
水没車はどんな症状がある?
エンジンがかからない、電装品が動かない、エアコンが臭い、車内から嫌な匂いがする、窓ガラスが曇りやすいなどの症状があります。
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