並行輸入車は国内で正規販売されている車ではないので、型式というものが付与されていません。
これを「型式不明車」と呼び、車検証にも型式の記述がありません。
つまり一般的な車ではないので、あらゆる場面で悪い意味の”特別扱い”を受けます。
参考【解決済み】並行輸入車のハイビーム検査ができなくなって車検に通らなくなった
今回は自動車保険の加入で苦労したので、その一部始終をご紹介します。
ソニー損保からかかってきた1本の電話
筆者の車は「いすゞ アクシオム」というもの。
日本国内で正規販売されていた車ではないので、アメリカから並行輸入したものです。
もちろん並行輸入車なので、車検証の型式は「不明」となっている、正真正銘の型式不明車です。
2020年に購入した際はソニー損保で保険に加入しました
その後2021年に一時抹消登録をしたため、ソニー損保の保険はここで一旦解約。
2024年に車検を取得したため、当時ソニー損保から発行された中断証明書を利用して、再度自動車保険を契約しようとしました。
しかしそこでソニー損保から伝えられたのは「型式不明車(並行輸入車)の自動車保険加入は一律で断っている」ということ。
かつては加入できたのですが、2023年10月1日に規定が変更になり型式不明車(並行輸入車)は自動車保険に加入できないルールとなったようです。
すっかりソニー損保で契約するつもりだった筆者は、納車日ギリギリまで自動車保険の手続きをしていませんでした。
まさに青天の霹靂
しかし並行輸入車は大体のことがズムーズにいきません。
ここで心が折れるようではこんな車に乗れないので、気を取り直して並行輸入車(型式不明車)でも加入できる自動車保険を探すことにしました。
型式不明車でも加入できる自動車保険
筆者は今回の件にあたり、下記の自動車保険会社に並行輸入車の加入可否を問い合わせました。
- ソニー損保
- アクサダイレクト
- SBI損保
- イーデザイン損保
- おとなの自動車保険
- 三井ダイレクト損保
- チューリッヒ
- AIG損保
- 損保ジャパン
- 東京海上日動
- 三井住友海上
- あいおいニッセイ同和
- 楽天損保
その結果をまとめたのが下記の表です。
自動車保険加入 | 車両保険加入 | |
ソニー損保 | ✕ | ✕ |
アクサダイレクト | ✕ | ✕ |
SBI損保 | ✕ | ✕ |
イーデザイン損保 | ✕ | ✕ |
おとなの自動車保険 | △ | △ |
三井ダイレクト損保 | ✕ | ✕ |
チューリッヒ | △ | △ |
AIG損保 | △ | △ |
損保ジャパン | ◯ | ◯ |
東京海上日動 | △ | △ |
三井住友海上 | ◯ | ◯ |
あいおいニッセイ同和損保 | △ | △ |
楽天損保 | △ | △ |
ネット通販型自動車保険は基本不可
上記の表にある、いわゆる「ネット通販型自動車保険会社」は型式不明車の自動車保険加入は不可となっていることが多いです。
唯一ネット型でも加入できそうなのが、「おとなの自動車保険」でした。
ただしネットでの保険見積もりや申込みはできず、電話で相談の上可否が決まるようです。
(注11) お車が改造車、並行輸入車、型式不明車、車台番号が職権打刻されたお車の場合は、お電話でご相談を承ります。(ただし、違法改造車はお引受けできません。)
※引用:おとなの自動車保険「お取扱いが可能な条件」より
つまり、車種や条件によっては自動車保険加入を断られる可能性があるということ。
電話相談となっているので、ネット型のメリットも薄れてしまっています。
一覧表では「△」になっているチューリッヒですが、ネット専用自動車保険では見積もり、契約ともに不可になっています。
型式が不明のお車はネット専用自動車保険ではお見積り・ご契約ができません。
※引用:チューリッヒ「ネット専用自動車保険 よくある質問」より
チューリッヒで契約を考えている人は、ネット専用自動車保険ではなく「スーパー自動車保険」を利用しましょう。
筆者が断られたソニー損保は、2023年10月1日より不可となったので、ネットの古い情報には注意しましょう。
代理店型自動車保険は加入できるところが多い
ネット通販型の自動車保険が軒並み型式不明車NGなことに対して、代理店型の保険会社はほとんどOKでした。
チューリッヒは先程ご紹介した通り、代理店契約型の「スーパー自動車保険」であれば型式不明車でもOKです。
損保ジャパンと三井住友海上については、公式サイト内で型式不明車の自動車保険契約に関する記述があるため問題なく契約できるようです。
少し気になるのが、一覧表で「△」となっている以下の自動車保険会社です。
上記保険会社は直接電話で問い合わせましたので、その回答をご紹介しておきます。
AIG損保
AIG損保では、型式不明車(並行輸入車)の加入不可という社内ルールは存在しないそうです。
代理店に問い合わせの上、代理店のOKが出れば自動車保険も車両保険も加入できるとの回答でした
東京海上日動
東京海上日動も、代理店が加入可能と判断すればOKとのことです。
筆者は結局東京海上で加入しましたが、車両保険は加入できませんでした。
詳しくは次章で解説しています
あいおいニッセイ同和損保
あいおいニッセイ同和損保も、代理店の判断により加入の可否が決まるそうです。
楽天損保
楽天損保では、型式不明車(並行輸入車)のネット受付はしていないそうです。
しかし代理店に問い合わせの上、代理店がOKならば加入できるとのことでした。
代理店の判断が大きいようだね
代理店型の自動車保険会社は、加入可否の判断を代理店にゆだねているようです。
会社としてNGというルールはなく、各代理店がOKと決めれば保険の契約は可能なようです。
筆者は東京海上日動で自動車保険に加入するため、最寄りの代理店に問い合わせをすることにしました。
筆者は東京海上日動で加入した
最寄りの代理店に問い合わせたところ、下記に該当しなければ型式不明車でも自動車保険に加入できるとのことでした。
ただ並行輸入しただけの車であれば加入できるとのことだったので、筆者は最寄りの代理店で東京海上に加入しました。
車両保険は加入できなかった
筆者の車は日本国内でも数台しか並行輸入されておらず、2004年式ということもあり車両の価値が算出できないとのこと。
また仮に事故などで修理するとなっても、部品が手に入らない車はいくら金額を積んでも元に戻りません。
自車の価値を証明する書類(契約書など)があれば、それを基準に車両価格を設定できますが、筆者の車にはそれがありません。
そのため今回は車両価格を契約できなかったよ
ともあれ、型式不明の並行輸入車でも無事に自動車保険が契約できました。
もし自動車保険の加入を断られて困ったら、代理店型の自動車保険に加入しましょう。
型式不明車が自動車保険に入れない理由
せっかくなので、ソニー損保に型式不明車が自動車保険に加入できない理由を聞いてみました。
最大の理由は、車両の価値が正しく判断できないということでした。
ここからは筆者の見解です
自動車保険というのは、当然事故のときに利用するもの。
被害額を算出したり、修理代を算出したり、目に見える「金額」として被害額を確定します。
その際に参考になるのが、車の市場価格というものです。
似たような車の中古価格などから市場価格を算出し、その金額をベースに保険金の支払いを行います。
並行輸入車(型式不明車)はこの「市場価格の計算」というのができないため、自動車保険の加入を断られるのかもしれません。
特にネット通販型の自動車保険会社は、保険料を安くするために極力人件費や経費を削減しています。
並行輸入車(型式不明車)のような手間がかかる車は、万一の事故が起きた際に被害額の計算が大変です。
そこに膨大な人件費と経費をかけてしまうと、保険料を値上げせざるを得ないのでしょう。
こうした理由から、ネット通販型自動車保険は並行輸入車(型式不明車)の加入を受け付けていないのだと思います。
型式不明車は代理店で自動車保険に加入しよう
これから並行輸入車(型式不明車)を購入する人は、代理店で取り扱っている自動車保険を契約しましょう。
代理店によっては並行輸入車の加入を断るケースがありますが、大元の自動車保険会社は受付不可としていません。
つまり取り扱ってくれる代理店さえ見つかれば、並行輸入車でも自動車保険に加入できるのです。
車両保険の加入も代理店でできるので、せっかく並行輸入してまで乗りたい大事な車、しっかり保険でカバーしてあげたいですね。
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